遺品整理を業者に頼みたいと思って検索してみたものの、料金も内容もばらばらで、どこがおすすめなのか分からない。そんな戸惑いを感じている方は多いのではないでしょうか。
気持ちの余裕がない時期に、見知らぬ業者へ大切な品の扱いを任せるため、慎重になるのは当然です。遺品整理のおすすめを探すときに役立つのは、会社名のランキングよりも、自分の状況に合った選び方の基準になります。
この記事では、遺品整理を業者に頼む場合と自分たちで進める場合の違いを比べたうえで、許可・見積もり・追加料金・立ち会いという4つの観点から、依頼前に確認したい点を整理しています。

遺品整理のおすすめを探す前に知っておきたい前提
この記事では、特定の業者名を挙げた推薦は行いません。理由は、遺品整理で「おすすめ」といえる業者が、依頼する人の状況によって大きく変わるからです。
たとえば、遠方に住んでいて何度も通えない方、荷物の量が少なく短期間で済ませたい方、実家の売却期限が迫っている方では、重視すべき点が違います。さらに、料金や作業内容は業者ごとの差が大きく、国民生活センターも複数の事業者から見積もりを取って慎重に選ぶよう呼びかけています(国民生活センター)。
そのため、まずは「自分の状況で何を重視するか」を決め、その基準に合う業者を見分ける力を持つことが、結果的に納得のいく依頼につながります。同じ業者でも、ある人には合い、別の人には合わないことは珍しくありません。
関連記事:生前整理とは?進め方の順番と遺品整理との違いを実務の視点で解説
遺品整理を業者に頼むメリットとデメリット
業者に頼む方法には、時間と手間を減らせる利点がある一方で、費用と契約面の注意点があります。
時間と体力の負担を大きく減らせる
業者に依頼する最大のメリットは、仕分けから搬出、処分までを短期間でまとめて任せられることです。遺品整理は荷物の量が多く、大型の家具や家電の運び出しには体力も必要です。
仕事や育児と並行しながら、休日ごとに遠方の実家へ通う負担は小さくありません。業者に任せれば、作業日を決めて短期間で進められるため、売却や賃貸の期限が決まっているときにも、スケジュールを立てやすくなります。
心身の負担を軽くしたい方にとっては、大きな助けになる方法です。
費用がかかり、料金の差も大きい
一方で、業者に頼むと作業費用がかかります。料金は部屋の数や荷物の量、搬出の難しさ、処分する品の種類などによって変わり、業者ごとの差も大きいとされています。
国民生活センターに寄せられた事例には、電話で約20万円と聞いていたのに作業後に約30万円を請求された、見積書をもらっていなかったというものがあります(国民生活センター)。
費用面で納得して依頼するためにも、見積書の内容を事前に十分に確認することが欠かせません。
契約トラブルの相談が寄せられている
国民生活センターが集計した遺品整理サービスに関する相談件数は、2013年度の73件から2016年度には114件に増え、2017年度は105件でした。
相談の内容には、見積もりの際にせかされて契約してしまった、解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求された、作業時に予定外の料金を請求され最終的に見積金額の2倍を請求された、処分しないよう頼んだ物を勝手に処分された、といった事例が挙げられています(国民生活センター)。
すべての業者に問題があるわけではありませんが、契約前の確認が重要であることを示しています。
自分たちで遺品整理を進めるメリットとデメリット
費用を抑えられ、残す品を自分で選べる反面、時間と労力、処分のルールへの対応が求められます。
費用を抑え、残す品を自分の目で確認できる
家族だけで進める場合は、業者への作業費がかからず、費用を抑えやすくなります。写真や手紙、故人が大切にしていた品などを、自分の目で一つずつ確認しながら残すかどうかを決められる点も大きな利点です。
気持ちの整理をしながら進められるため、時間をかけて故人と向き合いたい方には向いています。誤って大切な品を処分されるおそれがない点も、安心材料といえるでしょう。
時間がかかり、処分のルールも調べる必要がある
反対に、自分たちで進める場合は、荷物の量によっては数か月以上かかることもあります。
また、家庭から出る不用品は一般廃棄物にあたり、自治体の分別ルールに沿って処分する必要があります。エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法に基づく処理が必要です(国民生活センター)。
分からない点は、お住まいの市区町村の窓口に確認しておくと安心です。
一部だけ業者に頼む併用という方法もある
すべてを自分たちで行うか、すべてを業者に任せるかの二択ではなく、貴重品や思い出の品の仕分けは自分たちで行い、大型家具や家電の搬出だけを業者に頼むという併用も可能です。
費用を抑えつつ、体力的に負担の大きい部分だけを任せられるため、多くの方にとって現実的な選択肢になります。
その場合も、依頼する範囲と料金を、見積書で明確にしておくことが大切です。
関連記事:実家じまいで迷ったとき、最初に整理しておきたい手順と費用の考え方

状況別にみる遺品整理の依頼先の判断基準
おすすめかどうかは、状況と、業者を見分ける4つの基準を組み合わせて判断すると整理しやすくなります。
許可の有無を確認する
最初に確認したいのは、家庭から出る不用品を扱うための許可です。
家庭ごみの収集・運搬には、「一般廃棄物処理業の許可」か市区町村からの委託が必要です。環境省は、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可だけでは、家庭のごみは回収できないと説明しています(環境省)。広告を大きく出している業者でも、許可業者とは限らない点にも注意が必要です。
許可の有無は、市区町村の窓口やホームページで確認できます。遺品を買い取ってもらう場合は、古物商の許可も確認しましょう。
見積書の内容と追加料金の有無を確認する
次に、見積書の中身を確認します。作業内容と料金が項目ごとに明確に書かれているか、追加料金が発生する条件は何か、キャンセル料はいつから、いくらかかるのかを、契約前に書面で確認しておくことが大切です。
国民生活センターは、「定額パック」「トラック詰め放題」といった安い料金を示しながら、実際には追加料金などを請求する事例があると注意しています(国民生活センター)。
複数社から見積もりを取り、内容を比べることで、料金の妥当性も判断しやすくなります。
立ち会いと仕分けに対応してくれるかを確認する
遺品は、金額に換えられない価値を持つ品も多いため、残す品と処分する品を明確に分け、できるだけ作業に立ち会うことが勧められています。
遠方で立ち会えない場合は、作業前後の写真を共有してもらう、貴重品は事前に自分で別の場所へ移しておくなど、確認方法を業者と相談しておきましょう。
こうした相談に丁寧に応じてくれるかどうかも、業者を見極める一つのポイントになります。
不動産の売却や相続の期限がある場合は逆算する
実家が空き家になる場合は、整理のスケジュールを売却や相続の期限から逆算することが重要です。
相続した空き家を売却して一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があり、売却は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに行う必要があります。特例の対象となる譲渡は令和9年12月31日までです(国税庁)。
また、相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必要です(法務省)。期限があるときは、業者に早めに相談する価値があります。
関連記事:空き家の片付けは自分でするか業者に頼むか、費用と手間の判断基準
遺品整理を頼む前に整理しておくこと
業者へ連絡する前に、いくつか自分で済ませておくと、見積もりや契約がスムーズになります。
まず、通帳、印鑑、権利証、保険証券、契約書類など、重要な書類や貴重品の保管場所を確認し、先に別の場所へ移しておきます。次に、残したい品を家族で話し合って決め、処分してよい品との境目を明確にしておきましょう。不動産がある場合は、名義が誰になっているかも確認しておくと安心です。
そのうえで、複数の業者から、同じ条件で見積もりを取って比べてください。契約後に問題が起きたときは、消費者ホットライン188から、最寄りの消費生活センターに相談できます(国民生活センター)。
関連記事:相続でやることを期限順に一覧整理|流れと注意点をわかりやすく解説
参考・出典
・国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」
・国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」
・国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル-市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!-」
・環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」
・国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
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