空き家の片付けは、自分たちで少しずつ進めるべきか、思い切って業者に任せるべきか。どちらにも良い面と負担があり、決めきれずに時間が過ぎている方は多いのではないでしょうか。

荷物の量や家までの距離、売却の予定、家族で使える時間によって、向いている方法は変わります。

ここでは、この問題について、自分で行う場合と業者に依頼する場合の違いを、費用・手間・期限の観点から整理しました。依頼前に確認しておきたい公的な情報にも触れていますので、判断の材料としてお役立てください。

片付けの方法を比べる前に確認したいこと

片付けの方法を決める前に、まず空き家の状態と今後の方針を確認しておくと、比較の軸がはっきりします。荷物の量や家の広さ、家までの移動時間、今後は売却するのか、賃貸にするのか、あるいは残すのかによって、必要な作業の範囲が変わるためです。

たとえば、売却を前提にするなら、買い手が見学に来られる状態まで整える必要があり、期限が決まる場合もあります。相続した家であれば、相続登記や税の特例の期限にも関わります。

これらを先に整理しておくと、自分でやるか業者に頼むかの判断が、感覚ではなく条件にもとづいてできるようになります。

空き家は全国で増え続けており、令和5年の住宅・土地統計調査では900万2千戸、空き家率は13.8%と過去最高で(総務省統計局)、多くの人が同じ悩みを抱えている状況です。

関連記事:実家じまいで迷ったとき、最初に整理しておきたい手順と費用の考え方

自分で空き家の片付けをするメリットとデメリット

費用を抑えやすい一方で、時間と体力の負担が大きくなります。向き不向きを見極めましょう。

費用を抑え、思い出の品を自分で選べる

自分で片付ける最大のメリットは、業者に支払う作業費用を抑えられることです。必要なのは、ごみ袋や梱包材、処分にかかる費用などが中心になります。

また、写真や手紙、家族の思い出が残る品を、自分の目で一つずつ確認しながら選べる点も大きな利点です。

業者に任せると、残すべき品を誤って処分されるおそれがありますが、自分で仕分ければそうした心配は小さくなります。気持ちの整理をしながら進めたい方には、向いている方法です。

時間・体力・交通費の負担が大きい

一方で、荷物の量が多い家や、遠方にある家では、自分での片付けが想像以上に長引くことがあります。

休日ごとに通う必要があれば、交通費や宿泊費もかさみ、結果として費用の節約にならないケースもあります。

大型家具や家電の運び出しには体力が必要で、けがや事故のリスクも考える必要があります。片付けに使える日数と体力を現実的に見積もり、無理のない範囲で取り組むことが大切です。

ごみの分別と処分のルールを調べる必要がある

空き家から出る家財は、家庭から出る一般廃棄物として、自治体のルールに沿って分別・処分する必要があります。

粗大ごみの申込みや、家電リサイクル対象品の扱い、回収日や持ち込み方法は自治体によって異なります。遺品整理や片付けであっても、通常の家庭ごみと同様に分別が必要とされています。(横浜市)

自治体の窓口や公式サイトで、事前に処分の方法を確認しておくと、作業のやり直しを減らせます。

業者に空き家の片付けを依頼するメリットとデメリット

短期間で大量の荷物を処理できる反面、業者選びと契約内容の確認が欠かせません。

短期間で終わり、遠方や荷物が多い家でも対応しやすい

業者に依頼する大きなメリットは、短い期間で作業を終えられることです。

仕分け、搬出、処分までまとめて対応してもらえるため、遠方に住んでいて何度も通えない方や、荷物が多い家にとっては、時間の面で大きな助けになります。

売却の期限や、相続に関する手続きの期限が迫っている場合にも、スケジュールを組みやすい方法です。自分で行うよりも費用はかかりますが、時間と体力を買うという考え方もできます。

一般廃棄物の許可を持つ業者かを確認する

家庭から出る不用品を収集・運搬できるのは、市町村の委託を受けた業者か、一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた事業者に限られます。

横浜市は、無許可業者による不用品の処分は法律違反であり、不法投棄や有害物質の放出などの問題につながるおそれがあると注意を呼びかけています。(横浜市)

また、遺品や家財を買い取る業者には古物商の許可が必要です。依頼前に、許可の有無を自治体の窓口やウェブサイトの一覧で確認しておくと安心です。

見積もりと追加料金のトラブルに注意する

業者への依頼では、料金をめぐるトラブルも報告されています。

国民生活センターには、電話で聞いた金額が約20万円だったのに、作業後に約30万円を請求された、見積書をもらっていなかったという事例が紹介されています。(国民生活センター)

同センターは、複数の事業者から見積もりを取ること、作業日・作業内容・料金・支払方法・解約料を契約前に確認すること、作業中の追加料金の有無を確かめることを勧めています。

トラブルになった場合は、消費者ホットライン188に早めに相談できます。

関連記事:遺品整理のおすすめ業者を選ぶ基準は?依頼前に確認したい許可と見積もり

状況別にみる片付け方法の判断基準

自分でやるか業者かの判断は、時間・距離・荷物の量・期限という4つの条件を組み合わせて考えると分かりやすくなります。

近くに住み、時間にも余裕がある場合

空き家が通える距離にあり、数か月ほど余裕を持って進められる場合は、自分で片付けを中心に進める選択が現実的です。

貴重品や書類、思い出の品を先に仕分け、残りの家財を計画的に処分していきます。

大型家具や家電だけを業者に任せ、それ以外は自分で行う併用も有効です。費用を抑えながら、納得のいく形で整理できる可能性が高まります。

遠方にある、または荷物が多い場合

空き家が遠方にあって頻繁に通えない場合や、家全体に荷物が多く残っている場合は、業者への依頼を前提に検討するほうが、結果的に負担を抑えられることがあります。

その際は、作業前に貴重品と残す品を自分で選び出しておくこと、できるだけ作業に立ち会うことが、国民生活センターからも勧められています。(国民生活センター)

遠方で立ち会えない場合は、作業前後の写真を共有してもらうなど、事前に確認方法を決めておきましょう。

売却や税の特例の期限が決まっている場合

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

売却は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに行う必要があり、特例の対象となる譲渡は令和9年12月31日までです。令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は、控除額の上限が2,000万円になります。(国税庁)

期限から逆算して、片付けにかけられる期間を決め、間に合わないようなら業者への依頼を検討するという考え方が有効です。

関連記事:生前整理とは?進め方の順番と遺品整理との違いを実務の視点で解説

片付けを始める前に整理しておくこと

片付けの方法を決める前、あるいは決めた後でも、先に確認しておきたい項目がいくつかあります。

まず、家の名義が誰になっているかです。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない場合は10万円以下の過料の対象となります。過去の相続も未登記なら対象で、2027年3月31日までの申請が必要です。(法務省)

次に、書類や貴重品、権利証などの所在を片付けの前に確認しておきましょう。

さらに、空き家を管理せずに放置すると、改正空家法による勧告を受けた場合に、固定資産税の住宅用地特例が外れる可能性があります。(国土交通省)

方法を決めたら、無理のない計画で、できる範囲から着手してください。

関連記事:空き家の固定資産税が6倍になるのはいつから?条件と対策を解説

参考・出典

・総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」

・横浜市「遺品整理や家の片付けを業者に依頼する際の注意点」

・国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」

・国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

・法務省「相続登記の申請義務化について」

・国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」

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