「旧耐震の物件なんて、本当に買い手がつくのだろうか」
売却を検討し始めた段階で、こうした不安を感じる方は少なくありません。
実際には、旧耐震というだけで買い手がまったく見つからないわけではなく、売り方によって買い手が見つかる可能性やスピードは変わってきます。
この記事では、仲介で売る場合と買取業者に売る場合、それぞれで買い手が見つかる見込みや特徴を比較し、確実に売却を進めるための判断材料を整理しました。

「旧耐震だから売れない」わけではありません
旧耐震の物件だからといって、買い手が全くつかないというわけではありません。実際には、建物の性能よりも立地や価格、土地の広さを重視して物件を探している買い手が数多く存在します。
特に木造戸建ての場合、法定耐用年数である22年をすでに超えているケースがほとんどであり、旧耐震かどうかにかかわらず建物そのものの評価は低くなる傾向にあります。
つまり、旧耐震の物件も、そうでない築古物件も、建物の評価という点では大きな差がないケースが多いのです。買い手がつくかどうかを実際に左右しているのは、耐震基準そのものよりも、価格設定が周辺相場と合っているか、そして売り方が物件の特性に合っているかという点であることが多いといえます。
まずは仲介と買取、それぞれの売り方でどのように買い手が見つかるのか、具体的に見ていきましょう。
関連記事:旧耐震の戸建てを売却する際の注意点と進め方をわかりやすく解説
仲介で売る場合の買い手の見つかりやすさ
仲介による売却では、不特定多数の買い手に向けて広く物件情報を公開できる一方、旧耐震物件ならではの注意点もいくつか存在します。まずはそのメリットと注意点を順番に確認していきます。
土地目的・リノベーション目的の買い手にアプローチできる
仲介による売却では、不動産ポータルサイトや折り込みチラシなどを通じて広く物件情報を公開できるため、建て替えや土地活用を目的とする買い手、リノベーションを前提に古い物件をあえて探している買い手など、さまざまな層にアプローチすることができます。
特に土地の広さや立地条件が良い場合は、建物の耐震性能をそれほど気にしない買い手層に情報が届きやすく、旧耐震であることが致命的な障害にはなりにくい傾向があります。
実際、中古住宅市場では建て替えを前提に土地を探している買い手も一定数存在しており、こうした層にとっては建物の耐震基準よりも、土地の形状や接道状況、周辺環境のほうがはるかに重要な判断材料になります。
住宅ローン控除が使えないことで買い手の選択肢が狭まることも
旧耐震物件では、買い手が住宅ローン控除などの税制優遇を受けられない場合があり、住宅ローンを利用して自己居住を目的とする買い手にとっては、選択肢から外れやすくなる可能性があります。
特に若い世代の買い手ほど、税制優遇の有無を重視して物件を絞り込む傾向があるため、この点が仲介での成約スピードに影響することもあります。
ただし、耐震基準適合証明書を取得できれば、新耐震基準に適合しているとみなされ、この制約を回避できる場合があります。証明書の取得には数万円程度の費用がかかりますが、売却前にあらかじめ取得しておくことで、買い手の対象を自己居住目的の層にまで広げられる可能性があり、結果的に成約までの期間短縮につながることもあります。
価格設定次第で成約までの期間が大きく変わる
仲介による売却では、価格が周辺相場と合っていないと、内見の申し込み自体が少なくなり、買い手が見つかるまでの期間が長引く傾向があります。
旧耐震という条件を踏まえたうえで、建物の価値ではなく土地の価値を軸にした適正な価格設定を行うことが、買い手を確実に見つけるための重要なポイントになります。国土交通省の「不動産取引価格情報検索」などで近隣の実際の成約事例を確認し、相場から大きくかけ離れた価格になっていないかをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
売り出し開始から3か月程度経っても反響が少ない場合は、価格の見直しを検討するタイミングの目安になります。
関連記事:古い家は「売れない」と言われる理由と、今すぐできる対処法を解説
買取業者に売る場合の買い手の見つかりやすさ
買取という選択肢を選ぶと、仲介とはまったく異なる形で「買い手」を確保することができます。ここでは買取ならではの特徴を整理します。
買取業者自身が買い手になるため、確実性が高い
買取は、不動産会社自身が直接物件を買い取る仕組みであるため、「買い手が見つかるかどうか」という不確実性自体がそもそも存在しません。
旧耐震であることや建物の劣化状態にかかわらず、買取業者が土地の価値を中心に価格を算定して買い取ってくれるため、確実に、かつ短期間で売却を完了させたい場合に適した方法といえます。
一般的には、査定を依頼してから契約、そして現金化までを数週間から1か月程度で完了できることが多いとされており、相続税の納付期限が迫っている場合や、管理の負担から早く解放されたい場合に選ばれることの多い方法です。
価格は仲介での売却相場より低めになりやすい
買取業者は、買い取った後に自社でリフォームや解体を行ったうえで再販することを前提に価格を算定するため、価格は仲介による売却相場のおよそ70%から80%程度になることが多いとされています。
「確実に買い手を確保できる」という安心感と引き換えに、価格面では仲介による売却より低めになる可能性がある点は、あらかじめ理解しておく必要があります。
数百万円単位で差が出ることもあるため、価格を最優先したい場合は、まず仲介での査定額を確認したうえで、買取の金額と比較検討することをおすすめします。
内見対応や近隣への配慮の手間が少ない
買取では、複数の買い手候補による内見対応を繰り返し行う必要がなく、交渉相手も1社に絞られるため、手続きにかかる手間や近隣に売却の事実を知られるリスクを抑えられるという利点もあります。
旧耐震であることを内見のたびに説明したり、耐震性能について繰り返し質問されたりすることに精神的な負担を感じている場合は、買取という選択肢が、その負担を軽減する現実的な方法にもなり得ます。
また、契約から引き渡しまでのスケジュールも比較的柔軟に調整しやすいため、退去のタイミングを自分の都合に合わせやすいという声もよく聞かれます。
関連記事:築30年の戸建て売却相場は?価値ゼロでも高く売るコツと4つの売却方法を解説

状況別に見る、買い手を見つけるための選び方
ここまでの内容を踏まえ、実際にどちらを選ぶべきかを状況別に整理します。ご自身の状況に近いものを確認してみてください。
少しでも高く売りたい、時間をかけられる場合は仲介
価格を重視し、多少時間がかかっても構わない場合は、仲介による売却が向いています。特に立地が良く、土地の需要が見込めるエリアであれば、旧耐震物件であっても仲介で比較的スムーズに買い手が見つかる可能性が高いといえます。
耐震基準適合証明書の取得や、土地の価値を軸にした価格設定など、買い手の対象を広げる工夫と組み合わせることで、より確実性を高めることができます。
時間に余裕があるのであれば、まずは仲介で売り出し、一定期間反響を見たうえで、必要に応じて買取も検討するという段階的な進め方も現実的な選択肢のひとつです。
確実に、早く売却を終えたい場合は買取
「買い手が見つかるかどうか」という不確実性を避け、確実かつ短期間で売却を終えたい場合は、買取が向いています。
相続した旧耐震物件を管理する負担から早く解放されたい場合や、相続税の納付期限や転居のタイミングなど、売却時期があらかじめ決まっている場合には、価格が多少低めになったとしても、確実性やスピードというメリットのほうが上回ることが少なくありません。
管理の手間や固定資産税の負担が続くことを考えると、早期の現金化によって得られる安心感を重視する方も多く見られます。
迷う場合は両方の見積もりを比較する
どちらが向いているか判断がつかない場合は、仲介の査定額と買取の買取額の両方を、複数の会社から取り寄せて比較することをおすすめします。
同じ旧耐震物件であっても、会社によって提示される条件やアプローチの仕方には差があるため、金額だけでなく、対応のスピードや説明の分かりやすさもあわせて比較しましょう。
価格と確実性のどちらを優先するかを整理して判断することが、後悔を避けるための重要なポイントになります。
関連記事:築50年の家に価値はあるのか、不安になったら確認すべきこと
まとめ
旧耐震物件であっても、買い手が全くつかないというわけではなく、売り方によって見つかりやすさや期間は大きく変わってきます。
仲介では、土地目的やリノベーション目的の買い手に広くアプローチできる一方、住宅ローン控除の有無や価格設定によって買い手の対象や成約までの期間が変わります。買取では、業者自身が買い手になるため確実性が高く、短期間での現金化が可能ですが、価格は仲介相場のおよそ70%から80%程度と低めになる傾向があります。
価格を重視するなら仲介、確実性とスピードを重視するなら買取というように、何を優先するかによって適した選び方は変わってきます。
まずは複数社に査定・買取査定を依頼し、条件を比較したうえで判断することをおすすめします。判断に迷う場合は、無料のお見立て診断で状況を整理することもできます。
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